デザインパターンMLに結城浩さんが投稿されてて興味を持ったのですが、昨日は睡眠欲に勝てず読めずじまいだったです。が、さっき読んでみたら、おもしろかったので翻訳してみました。
この「訳」の著作権は破棄しますので、商用非商用自由ですが、勝手翻訳で承諾を受けているわけではないのでその辺は承知おきください。じゃあ何で公開したのかというと、文中に「知的財産の保護は再利用を制限し、実験を妨げる。」とうたってたからです。図々しいですね。はい。あと、訳に間違いがあるかもしれないので、指摘していただけると嬉しいです。
よくまとまっているので、取引先に魔法の呪文で呪術をかけられそうな僕のような会社員の皆様が「なあんだ、そういうことだったのか。」となる助けになればと。デザインパターン自体トレードオフの関係は避けられないと、ちょっとかじって感じたので、Web2.0のデザインパターンだってそれは避けられないはず、ですよね。
Web2.0のデザインパターン
原文:What is Web 2.0 7. Rich User Experiences の右カラム
※括弧内の単語の追加、太字化は佐藤魚が読みやすくするためにつけました。
クリストファー・アレグザンダーは「A Pattern Language」のなかで、(デザインパターンを)建築における問題に対するソリューションを共有認識の、あるフォーマットとして書いている。「それぞれのパターンはわれわれの環境下で何度も何度もおこった問題であり、その問題の核となるソリューションを書いている。そういったわけで、このソリューションはかつて二度も同じことを繰り返したようなことなく、100万回以上も使えるものだろう。」と彼は書いている。
- ロングテール(※) The Long Tail
小さなサイトはインターネットのコンテンツの束を作り上げる。狭いニッチはインターネットが可能にするアプリケーションの束を作り上げる。したがって: カスタマー・セルフサービスや、Web全体に、中心ではなく「エッジ」に、「ヘッド」ではなく「ロングテール」におよぶアルゴリズムによるデータマネージメントを活用すべし。 - データこそ次世代の「インテル・インサイド」 Data is the Next Intel Inside
アプリケーションはどんどんデータ先行型になる。したがって:競争力をつけるには唯一でまねのできない情報ソースをみつける必要がある。(それを探せた人が次世代の「インテル・インサイド」。) - ユーザーが価値を付加する Users Add Value
インターネットアプリケーションの競争でアドバンテージを得るキーとなるのが、いかに提供したデータ(アプリケーション)に対してユーザーが手を加えられるかにある。したがって: ソフトウェア開発の参加のルールをを厳しくしてはいけない。どんな場面でもアプリケーションの価値をあげるユーザーを巻き込む必要がある。 - ネットワーク効果はデフォルトで Network Effects by Default
価値を加えることによって、そのアプリケーションに危害を加えるユーザーは数的には少ない。したがって: 包括的なユーザーデータを集める副作用として、ユーザーのアプリケーション使用(の許可)をデフォルトとして設定すべし。 - 一部権利保有 Some Rights Reserved.
知的財産の保護は再利用を制限し、実験を妨げる。したがって:共有のアダプションから利益を得るには、非公開の制限はなく、アダプションを保護する法律がある状態であるべし。すでにある(法律の)スタンダードにのっとるか、なるだけ少ない制限のライセンスを使うべし。それは、「ハッカビリティ」や「リミキシラビリティ」のためにデザインされたものであるべし。 - 永久にベータ版 The Perpetual Beta
デバイスやプログラムがインターネットに接続されたとき、アプリケーションはソフトウェア製品ではありえない。それらは進行中のサービスである。したがって: 新機能を単一のリリースとしてパッケージしてはならない。そのかかわりに、普段のユーザー体験の一部として、定期的に(改善を)加えていくべし。 - コントロールでなく協力 Cooperate, Don't Control
web2.0アプリケーションは情報サービスの共同体ネットワークとして成り立っている。
したがって: Webサービスのインターフェースとコンテンツの配給システムを提供し、他のものの情報サービスを再利用するべし。弱い結合のライトウェイト・プログラミング・モデル(OOP?)を採用すべし。 - 単一デバイスのレベルを超えたソフトウェア Software Above the Level of a Single Device
PCはインターネットアプリケーションにつなぐ唯一のデバイスではない。そして、唯一のデバイスにしかアクセスできないアプリケーションはそうでないアプリケーションより価値が劣る。したがって: 最初からハンドヘルドやデスクトップPCや、インターネットサーバーを統合した形のアプリケーションをデザインするべし。
(※)商材と販売量の棒グラフをみると恐竜みたいに見えるが、その「しっぽ」の部分のほうが在庫コストがゼロに近いインターネットの世界では「あたま」より儲かるという話。しかも、もともと競争が少ないので利幅も大きい。小さなビジネスでもしっぽを長くすればそれなりに儲かりますねということ。